ホームページ
個人と企業との新しい関係とは?






※各自の写真をクリックしてください。その方の活動についてご紹介しています。



 リクルート社(R社)がイノベーションを促進するためのシステムの一つに「フェロー制度」があります。「フェロー」とは、専門領域でパートナーとして活動する“客員”を意味する言葉。私こと藤原和博は、この「フェロー制度」の第1号として今年3月まで契約していました。
 普通、“会社で働く”と言えば、それは社員もしくは契約社員になるということであり、その活動はピラミッド型の権力構造の中に限定されます。一方フェローの場合、会社とはお互いに独立かつ対等の関係。R社の社員がフェローになる場合は、いったんR社を退社することになるのです。
 会社人間か、独立か。その問いかけの過程で生まれたユニークな立場…それが“フェロー”というわけです。私が事業部長という地位を捨て、フェローという立場を選択した理由は、権力を捨てて自由になりたかったからにほかなりません。
 組織というピラミッド型の権力構造の中にいる限り、接待(Settai)、査定(Satei)、会議(Kaigi)といった仕事に多くの時間をとられてしまい、偉くなればなるほど、自分本来のなすべき仕事ができなくなります。取締役ならば、全体の9割の時間が、このSSKの仕事にとられてしまうというのが現状で、逆に言えば、自分しかできない仕事に割ける時間は、1割から多くても3割程度ということになるのです。その点、フェローはSSKの業務とは完全に切り離されており、こうした無駄な7割から8割の時間をすべて自分がなすべき仕事に使えるわけです。
 このシステムで最も重要なのは、会社のベクトルと個人のベクトルの和を最大限に引き出すことです。フェローになったからといって、会社に合わせたやりたくもない仕事を続けるというのでは意味がないのですから。お互いをパートナーとしてとらえ、お互いの力を最大限に利用しあうことによって、ベクトルの和を最大にすることが不可欠なのです。(「ベクトルの和の法則」の詳細については、拙著『エネルギーを奪う仕事、もらえる仕事』(新潮社)をご覧ください。)

   フェローとR社とは契約によって結びついている関係となるわけですが、細目は暖味(ぺ一パー1枚程度)にしてあります。
 私自身の場合で言えば、決まっていることは、自分が現在関心を持っている、「在宅医療」「コンピューターを活用した教育」そして「組織の壁を超えた個人と個人の新しい関係の構築」という3つの分野についての新規事業を起こすことに集中するというだけ。
 報酬については、固定されている年間の保証額があり、さらにその年の活動をR社が評価して成果報酬が加えられる「時価精算方式」をとっています。
 契約は1年ごとの更新で、次の年にはお払い箱になる可能性もあるけれど、逆にこちらがR社と手を切るということも無条件で可能となっています。その意味ではきわめてフェアな関係と言えるでしょう。
 事務所はR社の社内にあり、会社のソフトは自由に使用でき、経費についても一定の経費を使う権利をR社に認められています。

 他にR社では、入社数年から10年程度の社員を対象に、「ミニフェロー制度」(実際にはIO(イオ)制度と名付けられている)を実施しています。「フェロー制度」は、かなりハイパーなシステムだが、この「ミニフェロー」のシステムは、20代、30代の社員を対象に、退職金で会社をつくらせ、2年間はその会社にR社が発注をかけることによって独立を支援するというもの。
 彼らの会社はR社以外の会社から受注することも自由であり、このシステムによってR社からのスピンアウトが加速できる。

 現在、フェロー制度として、計3名が、イオ制度として1名が、リクルート社と契約を結んでいます。このコーナーでは、彼らの活躍ぶりを簡単にご紹介しています。

《編集長:ふじはら かずひろ》


よのなかnetホームページへ戻る