高橋歩、佐藤大吾 プロデュース サンクチュアリ出版 1500円(税抜き)


 この本のタイトルは凝り過ぎだ、と思う。
 素直に読めば、史上まれに見るほど丁寧に描かれた「政治家のなり方」の手引書なのだから、「若者よ、政治を目指せ!」とでもすれば、もう少し分かりやすかったはずだ。しかし、この本を企画した人々は、お洒落な作りにこだわった。だから、マニュアル本にもかかわらず、上質の写真がふんだんに使われ、なぜか過剰なまでの熱い思いが感じられる本に仕上がっている。
 読者に、この本の息吹を感じていただくため、原文を羅列してみる。
 「リスペクトできる政治家?そんなのいねえよ。(高校生のなりたくない職業No.1『政治家』:リクルート社調べ)…これじゃ、日本はダメになる(笑)」「ボクたちは、アメリカが世界中で続ける戦争を、『支持している国』の国民です」
 「この子達を、殺したり、泣かせたり、苦しめたりしているのは、結局、『俺たちの意志』なんだよね」(難民の子供の写真とともに)
 「無一文・未経験・コネナシから、20代で政治家になり、現在も活躍を続ける7人の男たちの肉声。そして、若くしてトップ当選を果たした連中によって創られた、プータローからでも当選できる、シンプル&パワフルなガイド。この本と、情熱だけで、政治家には必ずなれる。『えっ、オマエが?』って奴が政治家になってこそ、日本は面白くなる」
 「バンドマンやサーファー、デザイナー、営業マン、ショップオーナーなどを辞めてまで、政治家になり、現在、『政治家』という仕事をメチャクチャ楽しんでいる若者たちの声を中心に創られた。…僕らの生まれた、この時代、この国に。新しい希望が、どんどん溢れてくることを祈って」(なんと、自己負担93万633円の選挙費用で千葉県流山市の議員になった松野豊氏の収支表つきである)
 「さあ、こんな本なんて、捨てちまってくれ。能書きは、もういいよな。まちに出て、動き出すときだ」
 私はたまたま、この本に登場する鈴木烈(れつ)という若者を知っている。早稲田大学の雄弁会からいったんは銀行員になり、その後松下政経塾を経て、住んでいるところでも親の地盤でもない東京都葛飾区の区議選に出馬。本気であるがゆえに、新顔でいきなりトップ当選を果たした。
 日本を救うのは、この「本気」さだと思う。そして3300の自治体の首長が残らず「本気」の人になってくれれば、国会の不毛を嘆く必要もなくなるだろう。
(2003年6月16日号書評)
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