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組織を超えた個人と個人のネットワーク 進行中のプロジェクト報告 |
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◇情報の海に飛び込む前に泳ぎ方の習得を 1999年から2000年にかけて、僕が発起人で、慶応幼稚舎の金子郁容(いくよう)舎長や東京大学の教育学部長佐伯胖(ゆたか)先生がリーダーとなって進めている『シーホース・ベイ・プロジェクト』が行われました。シーホース・ベイ=「竜のおとし子の入江」。インターネットの巨大な情報の海に乗り出す前に、まず波打ち際でちゃぷちゃぷと泳ぎ方、つまり情報の扱い方を教えようというのがプロジェクトの大まかな主旨です。 子どもたちが学校で学ばなければならないのは、端末の操作方法とか単純な情報処理ノウハウではなくて、玉石混交入り乱れて氾濫する『よのなか』の情報から何を選び出し、どう編集し、さらに自分なりの意見を発信してゆくかなんですね。 文部省は2001年までに全国の中・高等学校および特殊教育学校、2003年までには小学校もインターネットに接続できる情報環境を整えると発表していますが、僕は、子どもたちをいきなり現状のインターネットの波の中に投げ出してしまうのは危険だと思っています。 ![]() まず最初は、ある程度ファシリティターによって選ばれた穏やかな海の中で、情報を吸収し、その中で自己のリアルな体験とバーチャルな情報との整合性を図りながら、情報を再編集して発信する力を身につけさせたい。具体的には専用のブラウザとネットワークゲームの開発を行なっています。 | ||
『シーホース・ベイ・プロジェクト』とは…… ※下の囲みをクリックすると拡大してご覧になれます。![]() ![]() ◆◇シーホース・ベイ・プロジェクトホームページは、こちらから。 | ||
◇良質な疑似体験ソフトで参画への興味を育成する 子供たちがコンピュータに親しむ入り口として、もはやゲームは欠かせないツールです。子供たちの様子を黙って見ていれば解ることなんですが、彼らは当初単純にゲームの世界に巻き込まれていることが嬉しい。次に「このゲームはどうやって作ったんだろう?」とか「どうしてこのゲームにはこのキャラクターが出てくるんだろう?」と次第に興味がその背景に移行してゆくようになる。 さらに進むと、自分がそのゲームの世界に積極的に関ることによって、それを変える可能性があるということに気づき始める。ゲーマーからクリエーターへ。受動する側から参加する側へ意識が転換するわけです。そこで重要になってくるのが、どんな世界に彼らが参画してゆくのか、つまりソフトの質なんですね。 ![]() 僕の著作『よのなか』でも紹介したのですが、『シムシティ』という都市構築シミュレーションゲームでは、実際に街をデザインし、商業や工業を興し住民を集めて、その納税によって自分が市長の立場で都市運営を行なう疑似体験ができます。行政に不満があれば住民が他の街に出ていってしまうし、都市のレイアウトに不具合があれば交通渋滞や公害が起こって地価が下落するなど、実にリアリティがある。黒板で「税金とはなんぞや」と教えるよりも、こうしたゲームの方が楽しみながらより多くの知識を吸収できるし、自分が積極的に参画することで物事が変わるんだという理解に繋がるのです。 もちろん、格闘ゲームなんかもそれはそれである種のファンタジーの中でのストレス解消という癒し効果があるけれど、教育的な側面でも効果をもたらすリアリティのあるソフト、現実の世界との整合性が取れるクオリティの高いソフトの開発はまだまだなんです。 | ||
◇あなたは自分の作ったゲームを楽しめるか 僕は、“ゲームがクリエイトできる人”が優秀なビジネスマンであると思っています。ゲームクリエイターはまず、自分の世界観が確立できなければならない。そしてそこにどんな登場人物を配するか、キャラクターの設定をしなければならない。そして、世界観とキャラクターの関係づけをするためにルールを定め、シナリオを描いて行く。 この三つ――世界観をイメージし、キャラクターを設定して、ルールを作り出せること――があらゆる状況の中で行える人材が今どこの世界でも求められています。戦後五十年、右肩上がりの高度成長の中では、与えられた役割と上からの指示を懸命にこなしていれば幸せになれました。 ![]() どんなテーマで世界観を作ってゆけばモノが売れるのか。どんな視点で市場を観れば“新しい世界観”での市場開拓ができるのか。その世界に生きる上で、自分の持てる最強の持ち味、すなわち自分のキャラクターは何か。それはどんな資質で、自分の幸せとどう関っているか。他人の良い面、他人のキャラクターと自分のキャラクターを組み合わせて、目の前のゲームを面白くしてゆける人が、これからの企業経営を牽引していける人だと思います。 私の友人の一人でもある春山満さんは、ヘルスケア市場を革新する素晴らしいゲームクリエイターです。彼は筋ジストロフィーという重度の身体障害を負った方なんですが、そういうことを全く度外視しても、私がこの10年で出会った企業経営者の中で最もインパクトのあるベンチャー企業のオーナーといえます。 |
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