よのなかフォーラム
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タイトル 空の青さをみつめていると
投稿日: 2020/08/10(Mon) 23:14
投稿者USA

『空の青さをみつめていると』(角川文庫)谷川俊太郎

『いちねんせい』(小学館)を読み、すっかり谷川さんの魅力に取り憑かれた私。
本屋で目に入り思わず手にした本がこちらです。
本著には200弱の作品が集録されておりますが、その中でも度肝を抜かれたのがこの作品です。



鳥羽 1
何ひとつ書く事はない
私の肉体は陽にさらされている
私の妻は美しい
私の子供たちは健康だ

本当の事を云おうか
詩人のふりはしてるが
私は詩人ではない

私は造られそしてここに放置されている
岩の間にほら太陽があんなに落ちて
海はかえって昏い

この白昼の静寂のほかに
君に告げたい事はない
たとえ君がその国で血を流していようと
ああこの不変の眩しさ!



いかがですか?
すごくないですか?
私も鳥羽には毎年正月に訪れるのでその自然の美しさはとてもよくわかります。
でもその美しさをどう言葉で表現していいか私にはわかりません。
あの景色の美しさを前にすれば言葉のプロである谷川さんですら平伏してしまったのでしょうか。
「詩人のふりはしているが私は詩人ではない」
これはとてつもないフリだと思います。
谷川さんは誰もが知る詩聖です。そんな方が自らを「詩人ではない」と評することで、鳥羽の自然の前ではどんなに偉大な方であってもちっぽけで何者でもない。だからこそ鳥羽の自然はどこまでも大きくて偉大でそして美しいということが痛いほど伝わってきます。
すごい詩です。鳥肌ものです。

『本を読む人だけが手にするもの(古典編)』自薦または他薦50冊のうち23冊目の書評(1000冊のうち157冊目)


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