よのなかフォーラム
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タイトル 心にナイフをしのばせて
投稿日: 2020/04/29(Wed) 00:43
投稿者USA

『心にナイフをしのばせて』(文藝春秋)奥野修司

本著は50年ほど前に起こった殺人事件を扱ったノンフィクションです。
少年Aが同級生を殺害しました。殺害した後に首を切断するなどその行為は常軌を逸したものでした。
少年Aが更生施設を出た後の消息は全くの不明だったのですが、本著によってそれが明らかになります。
なんと、少年Aは弁護士として成功を収め、家族と共に幸せに暮らしていたのです。

本著の内容のほとんどが取材を通して語られる被害者遺族の心情です。その心情たるや、まさに地獄そのものです。遺族の人生はAによって完全に破壊されています。
「あとがき」にもあるのですが、日本の法制度では被疑者の視点が主であり、被害者からの視点が多いに欠如しています。本著が世に出たことにより被害者にもっと目を向けるべきだという流れにかわっていったようなのです。
ちなみに、本著が理由なのかどうかは定かでありませんが、Aはその後弁護士登録を抹消しています。

ここでは次の2点の議論があると思います。
@殺人と言えど更生した元少年であるAに対して弁護士資格を抹消するようなことをさせてよいのか
A被害者遺族が未だ地獄を見ているのに、加害者が平気な顔をして暮らしていていいのか

遺族としては@であろうがAであろうがどちらであっても、もはやどうでもいいことなのかもしれません。なぜなら最愛の息子の命が奪われて、Aが更生しようがしまいがその命は戻ってこないのだから。遺族が望むとすればAの命と引き換えに息子の命が蘇ることではないでしょうか。

かなりの問題作です。読んでいてとても考えさせられると同時に心がかなり重たくなり本当に疲れました。

本を読む人だけが手にするもの(ノンフィクション編)』自薦または他薦50冊のうち15冊目


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