よのなかフォーラム
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タイトル 死の淵を見た男〜吉田昌郎と福島第一原発
投稿日: 2020/03/30(Mon) 16:54
投稿者カズ

 第一級のノンフィクション。門田隆将『死の淵を見た男〜吉田昌郎と福島第一原発』(角川文庫)。
 福島/原発関連の本は3・11以降出版されたものだけでも1000冊を超えるそうだが、この本は間違いなく歴史に残る1冊になるだろう。

 現在、映画化されて東宝系で上映されている。
 https://www.fukushima50.jp
 映画でどれほどの臨場感を出しているのかわからないが、観たい!

 たいていの大人に吉田所長(当時)の奮闘する姿はまだ記憶にあると思うが、チェルノブイリの10倍のヤバさがあったあの危機脱出から2年4ヶ月後に亡くなっていることについてはどうだろう。彼のスタッフが、東電の上層部や政治家の迷走にかかわらず、命がけの冷却を目指して放射能の高い現場でどんなふうに奮闘していたかについては、どうだろう。

 この本では、実に細かく念入りな取材活動を通じて、真実を伝えようとしてくれている。
 原発反対派、賛成派というようなイデオロギーの視点からではなく、東電や特定の政治家批判でもなく、現場の動きに寄り添う視点でだ。

 文庫版あとがきより
 『日本のマスコミは、「原発推進か」「反原発か」というイデオロギー争いに終始しています。彼らにとって、ファクト(事実)は二の次であり、自分の主張に都合のいいように真実は捻じ曲げられるのです。』
 実際に、朝日新聞は「福島原発の人間の9割が<所長命令に違反>して撤退したことがわかった」という誤報をし、のちに、この記事は、現場にいた当事者にたった一人の取材もせず、書かれていたことが明らかにされたということです。

 現代日本の政治状況、発電所という大企業システムと地方行政の構造、そして、それでも使命感で動く現場の底力を感じられる必読の書だと思いました。


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