よのなかフォーラム
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タイトル 短編小説『責任感』
投稿日: 2020/02/18(Tue) 18:46
投稿者USA

小説『責任感』

「おっ、短期でいいバイトあるじゃん。2ヶ月の短期だって。こんな短期なら大した仕事でもないだろうしきっと楽勝でしょ。応募しちゃおうっと」
俺は高岡聡。20歳のフリーター。夢ってほどじゃないけど、いつかは自分の店でも持ちたいなとか思ってる。今はそのためにもいろんなことにチャレンジして社会経験を積みたい、ってそんな感じ。だから短期でいろんなバイトを転々とするのは今の俺にとって丁度都合がいいんだよね。所詮バイトだし自分に合わなければ辞めればいいわけだし、別に採用する側もバイトに大きな期待なんてないっしょ。まあいわゆる「WIN-WIN」の関係ってやつ?


「あの〜、タウンワーク見て応募したんですけど、まだ短期の仕事の募集ってしていますか?」
俺はネットで見つけた短期バイトの募集先に電話をかけていた。仕事内容は繁忙期における事務処理の補助ということらしい。
「御応募ありがとうございます。まだ募集はさせていただいております。もし宜しければぜひ面接をさせていただきたいのですがご都合はいかがでしょう?」
そんな感じでトントン拍子で面接へと進んだ。


「広告にも掲載していますが、基本的には事務処理の補助です。基本的なパソコンのスキルがあればできるお仕事ですが、重要な情報も扱いますので担当職員の指示にはよく従っていただくことになります」
一通り仕事内容の説明を受けた俺は、短期で割りのいいバイトだと思っていたので特に深く考えることなく
「大丈夫です。頑張ります」
と体よく答え、無事バイト採用の運びとなった。
翌日から研修となったが思ったより内容が専門的で、まぁざっくり言うと面倒くさくなってきた。なんか思ってたのと違げえなと感じウザくなってきたので、面接してくれた職員に
「なんか自分が思ってた事務と違うので辞めさせて欲しいんですけど。中途半端に続けても逆に迷惑になると思うんで」
と断りを入れた。
「えっ、何言ってるの?まだ研修始まってばっかりじゃない。合わないも何もないでしょ」
「でもなんか続けていける自信ないし。申し訳ありませんが、今日で辞めさせください」
こんなかったるい仕事よく続けるよな、と俺はそこで働く職員に対し半ば蔑んだような心持ちでいた。
「そうなんだ。せっかく採用したんだし続けて欲しい気持ちはあるけど高岡さんがその意志がないなら仕方ないよね」
「申し訳ないですけど、、、」
と言いつつ、俺は一刻も早くこの場を離れたかった。
「でも辞めるというなら一言だけ言わせてもらえないかな」
と告げられ俺は正直戸惑った。辞める意志を伝えればそれですぐに話は終わると思っていたからだ。
「高岡さんも学校を卒業して、今はもう社会人なんだよね。そうである以上は自分の行動に少しは責任を感じないといけないと思うよ。縁あって当社はあなたをアルバイトとして採用した。そこには給料が発生するし決して遊びなんかじゃない。それはアルバイトであろうが正社員であろうが関係ないことだと僕は思う。研修の期間は君はなんの役割も果たしていない。一生懸命仕事を覚えてもらってその後に頑張ってくれたらという思いで職員は時間を調整して君たちに指導をしているんだよ。それを研修を受けただけで仕事が合わないから辞めるなんて、そんな無責任なことある?こんなの一種の社会的な詐欺だとさえ僕は思う。短期でも雇用期間があるんだからその間は責任を果たすべきだよ。
もうあなたはここで働く気はないということだろうから、僕たちにとってはもうあなたのことをどうこう言っても仕方ないけど、これから社会で生きていくならこんな無責任なことを続けてはいられないよ。アルバイトだから、とかそんなことがいいたいんじゃない。君自身の考え方を改めないときっとどこで何をしようと何も身につかないと思うよ。社会で働くっていうことは責任感を持って仕事をしているかどうかに尽きるんだから」


「なんだよ、アイツ。偉そうに説教たれやがって。なんでお前にそこまで言われる筋合いがあんだよ。マジでムカつく。ってか許せねえ。俺だってあんな仕事に応募したせいで時間を無駄にしたっつーの。あんなクソみてーな仕事、ぜってー願い下げだよ。一生やってろよ、バーカ」


40年後
「すみません。タウンワークのアルバイトの募集を見たんですけど、まだ募集してますか?パソコンは結構得意なんですけど、、、」


(著者あとがき)
僕は今の職場でアルバイト採用の仕事もしていますが、この小説にあるような人物が多くてかなり驚きでした。
そんな彼らが数年後にどんな人物になっているのか。興味は尽きません。


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