よのなかフォーラム
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タイトル 短編小説『闇』
投稿日: 2020/02/16(Sun) 00:17
投稿者USA

布団に身を委ねた瞬間に今夜は眠れるのか、或いはそうでないのかが判断できるようになってきた。
後者の場合はもう駄目なのである。堂々巡りの思考のループに陥るのである。今日は眠れそうにない。なんとかして眠らなければ。脳が活発にあるから眠れないのか。そうであるならば深呼吸をし脳に落ち着きを与えるための息吹を吹き込んでやればいいのか。しかし頭で考え出したことを実践すればするほど、余計に眠れないということを逆に脳が意識するものであるから始末が悪い。

そんな夜が幾夜も過ぎた。私は完全に我を見失っていた。
部屋の灯りを消す。途端に暗闇が私を覆う。嗚呼、今夜も眠れないのか。
そんな時である。もう一人の私というべきものが現れる。
「無理に眠る必要もないだろう。何故にそこまで焦るのだ。眠れないということはお前が私とまだ別れることを望んでいないからではないのか」
そんなことを私が私に語りかける。
「別にお前と話すことなど何もない。私の前から消えろ」
私は私に脳の中で叫ぶ。
「消えろと言われればいつでも消えるさ。お前がそう望めばいいだけの話さ。何も難しいことなんてないだろう」
「消えろ、消えろ、消えろ!!どうだ、消えろと俺がお前に言えば言うほど俺はお前を余計に意識するばかりさ。どうだい、これ程厄介なことはないだろう」
「ならば私のことなど消えろなどとは思わずに意識すらしなければ良いではないか。意識をするからお前は私を消せないのだよ」
意識をするから私を消せない。
私はもはや限界だった。思考をこれ以上深淵にすることができなかった。




不知不識私は深い眠りに落ちていた。
嗚呼、私はようやく私と同化できたのだ。

(著者あとがき)
川端康成と梶井基次郎に影響されて彼等風の短編小説を作ってみました。こんな感じの短編集が古典には多いですよ。いかがですか?なかなか脳にはハードです(笑)


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