よのなかフォーラム
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タイトル インスピレーション童話『決意』
投稿日: 2019/11/17(Sun) 12:18
投稿者USA

僕のクラスにはいじめられっ子のタカシくんがいたんだ。
タカシくんはとても優しい子なんだけど、頼りない感じだったからいじめられてばかりいた。なにをされても「いやだ」とか「やめて」って言えないからいつも我慢ばかりしてたんだ。
僕はタカシくんになにもしてあげられないかわりに、どんなつらいことがあったのかお話だけは聞いてあげていたんだ。
そしたらタカシくんは気持ちが楽になったみたい。タカシくんは僕にはお話をたくさんしてくれるようになったんだ。でもね、先生のことは嫌いみたい。「先生はなにもしてくれないから」って。

ある時、先生が僕を呼び出したんだ。
「あなた、タカシくんに何をしたの。へんなことは教えたりしたらだめよ」って言われたんだ。
僕はすごく頭にきたんだ。だって先生がタカシくんになにもしてあげないからタカシくんは苦しんでいたのに、それに僕はタカシくんのお話を聞いていただけなのに、それのなにがいけないことなのか僕にはさっぱりわからなかった。
僕はお父さんお母さんから「困っている人がいたら見捨ててはいけないよ」って言われ続けていたからそれを守ってるだけなんだ。
僕には先生が言うことよりお父さんお母さんが言うことの方が正しいんだって今でも思う。

それからも僕とタカシくんは仲良しだった。でも僕もタカシくんも先生のことがすっかり信じられなくなっていて、僕たちは僕たちのしたいように学校生活を送っていた。そしたら突然先生が「お前たち、廊下に立ってろ」とか「放課後残って雑巾掛けしろ」とかむちゃくちゃなことを言い出すようになった。
僕はそんな先生たちにうんざりするようになった。もう転校したいとさえ思ったんだ。でも僕が転校したらタカシくんはどうなるんだろう。ひとりぼっちになってまたいじめられるんじゃないのかな。そんなとき誰がタカシくんの悩みを聞いてあげられるんだろう。
それに今僕が先生たちから逃げたら、タカシくんはきっと苦しんじゃう。そんなことになったらお父さんお母さんとの約束を僕は破ることなる。
僕は決めた。僕はどんなつらいことがあってもタカシくんを1人になんかしない。これからもずっと。なにより僕が逃げ出せば僕は僕でいられなくなる。そんな気がする。

(著者あとがき)
この童話は『沈黙』からインスピレーションされたものです。宗教がそれを信じる人のアイデンティティーになった時、宗教はもはや信じる信じないとかのレベルではなくなってしまうのかもしれません。宗教を否定されることはひいては自分を否定されることと同義になるからです。
『沈黙』からは多くのことを学ばせていただきました。
藤原さんが仰るとおり、現代人の必読書だと思います。


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