よのなかフォーラム
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タイトル なぜ自己肯定感が低いか?宗教とは何か?
投稿日: 2019/09/24(Tue) 07:38
投稿者カズ

> 藤原様
>
> 本日は渋谷のカフェにて突然失礼いたしました。
> また、温かく受け入れてくださって本当にありがとうございました!!

 はい、日本の若者の自己肯定感(セルフ・エスティーム)が低いことは、私もたびたび指摘する問題です。ベンチャーの人事担当としてそれに気付き、(神学科に通い直して)牧師になってそれを支えようとする志にはエールを送ります。

 なぜ、自己肯定感(セルフ・エスティーム)が低いのか?
 私は近著『僕たちは14歳までに何を学んだか』(SB新書)に「根拠のない自信」という優しい言葉に言い換えて詳述していますが、主に原因は3つあると考えています。

(1)日本では、少子化と核家族化と、地域社会の崩壊もしくは後退が、戦後50年で一気に同時に起こったことで、親子と先生・生徒の「タテの関係」が強すぎてキツくなってしまった。
 「タテの関係」では、真面目で一所懸命な親ほど子どもに対して「◯」(よくやった!素晴らしい!いいじゃない!)よりも「×」(ダメじゃない!それやっちゃダメ!いけません!)を連発することになるので、自然、子どもは「◯」より「×」の方が多いから、自尊感情を傷つけられることに。

 本来は、兄弟が多数いれば、いなされたり、癒されたり、防潮堤になってくれたりするものなのですが、少子化と核家族化で、その「ナナメの関係」での干渉作用が効きません。

 さらに、地域社会でのお兄さん、お姉さん、おじさん、おばさん、おじいちゃん、おばあちゃん役の人々が、地域社会の後退によって、本来のこの「ナナメの関係」の役割を果たせなくなっていることも効いています。
 その証拠に、おじいちゃん、おばあちゃんと同居している主に田舎の子(無条件に愛されている子)は、けっこう「根拠のない自信」を温存します。
 『僕たちは14歳までに何を学んだか』では、DMMの亀山会長のケースが典型的にこれに当たります。

(2)日本では、学校を中心とした教育システムが徹底的に「正解主義」で運営されること。家庭でも、学校でも、「早く、ちゃんとしている、いい子」が良いとされ、「早く、ちゃんと、いい子に」の呪文が百万回唱えられるのですから、たいていの子はこれに抗えません。
 さらに、この学校の「正解主義」が社会全体に滲み出していて、会社でも「正解主義」がいいとされる風潮もあると思います。
 これを社会学者は、「社会の学校化」と呼んでいます。

 最近の若者が、会社の仕事でトラブルがあったり、壁にぶつかると、自分で考えようとせず、すぐに上司に「どうすればいいんですか?」「何が答えですか?」「正解を教えてください」と聞くという傾向は、上司や人事部長が指摘するところです。

 日本社会全体が、戦後、アメリカ的な(物質的な)豊かさを目指して、学校を「正解主義」の殿堂とし、一致団結して情報処理力の高い(正解が初めにあって一つ一つのピース/部品を場所を間違わずにはめていくだけのジグソーパズル型の学力が高い)少年少女を増産したことが徹底的に日本人を呪縛しているのです。
 歴史的には、(参覲交代システムを含む)徳川の治世が、このような総サラリーマン化もしくは官僚主導の正解主義を準備したとも言われています。

(3)最後に、日本社会では、宗教の役割が機能不全だからです。

 「みんな一緒」という感覚が共有できる「成長社会」から、「それぞれ一人一人」という感覚が強くなる「成熟社会」では、本来、人々は個人の孤独感に耐えられないから、地域社会での「ナナメの関係」やそれを背後から支える宗教の役割(あなたは孤独だけれども、目に見えない大きな存在に見守られているんですよという物語を共有すること)が大事なのですが、敗戦の不幸な事実から、戦勝国によって国が宗教を発動することを禁じられてしまった歴史があります。

 だから、神社の地域社会をまとめる機能は後退したし、たいていの仏教は葬式屋さんに成り下がってしまったし(生きることに関与しなくなった)、キリスト教はご存知の通り、フランシスコ・ザビエル以来、度重なる熱心な布教にもかかわらず、1%の普及率です。隣の韓国の普及率が何割にも上っていることを鑑みれば、驚異的に低い浸透率ですよね。
 この点は名作・遠藤周作『沈黙』が余すところなくその原因を描ききっていると思いますが、日本人は豊かな自然に恵まれた島国に育ったので、「現世御利益」の思想が強く、神様が作り、神様が待つ「あの世」というのを、なかなか信じられないのだと思います。

 しかし、やっぱり、日々の迷いや悩みや挫折はあるわけで、さらに孤独感は成熟社会が深まれば今後ますます増していくわけですから、それを誰がどのように支えるのかは、表向き宗教が機能しない日本でも、必要性がどんどん増しています。
 新興宗教は、こうしたニーズを取り込んで成長しているし、狂ったようにSNSする若者たちは、宗教の代替物として、ネットでの「つながり」を求め、彷徨っているのだとも言えるのです。

 宗教の英語訳は「religion」。これは「relay」(つながり)や「relatives」(親戚)、「relation」(関係)と同じく、「religio」というラテン語を原語としているようです。
 個別に分けられた人間を、再び「ツナゲル」という意味です。

 神様は英語では「divine」、人間個人は「individual」。
 divineである神様から、一人一人を「in」=切り刻んだから「in-divine」なんですね。

 健闘を祈ります!
 


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