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タイトルインスピレーション童話『決意』
記事No5047
投稿日: 2019/11/17(Sun) 12:18
投稿者USA
僕のクラスにはいじめられっ子のタカシくんがいたんだ。
タカシくんはとても優しい子なんだけど、頼りない感じだったからいじめられてばかりいた。なにをされても「いやだ」とか「やめて」って言えないからいつも我慢ばかりしてたんだ。
僕はタカシくんになにもしてあげられないかわりに、どんなつらいことがあったのかお話だけは聞いてあげていたんだ。
そしたらタカシくんは気持ちが楽になったみたい。タカシくんは僕にはお話をたくさんしてくれるようになったんだ。でもね、先生のことは嫌いみたい。「先生はなにもしてくれないから」って。

ある時、先生が僕を呼び出したんだ。
「あなた、タカシくんに何をしたの。へんなことは教えたりしたらだめよ」って言われたんだ。
僕はすごく頭にきたんだ。だって先生がタカシくんになにもしてあげないからタカシくんは苦しんでいたのに、それに僕はタカシくんのお話を聞いていただけなのに、それのなにがいけないことなのか僕にはさっぱりわからなかった。
僕はお父さんお母さんから「困っている人がいたら見捨ててはいけないよ」って言われ続けていたからそれを守ってるだけなんだ。
僕には先生が言うことよりお父さんお母さんが言うことの方が正しいんだって今でも思う。

それからも僕とタカシくんは仲良しだった。でも僕もタカシくんも先生のことがすっかり信じられなくなっていて、僕たちは僕たちのしたいように学校生活を送っていた。そしたら突然先生が「お前たち、廊下に立ってろ」とか「放課後残って雑巾掛けしろ」とかむちゃくちゃなことを言い出すようになった。
僕はそんな先生たちにうんざりするようになった。もう転校したいとさえ思ったんだ。でも僕が転校したらタカシくんはどうなるんだろう。ひとりぼっちになってまたいじめられるんじゃないのかな。そんなとき誰がタカシくんの悩みを聞いてあげられるんだろう。
それに今僕が先生たちから逃げたら、タカシくんはきっと苦しんじゃう。そんなことになったらお父さんお母さんとの約束を僕は破ることなる。
僕は決めた。僕はどんなつらいことがあってもタカシくんを1人になんかしない。これからもずっと。なにより僕が逃げ出せば僕は僕でいられなくなる。そんな気がする。

(著者あとがき)
この童話は『沈黙』からインスピレーションされたものです。宗教がそれを信じる人のアイデンティティーになった時、宗教はもはや信じる信じないとかのレベルではなくなってしまうのかもしれません。宗教を否定されることはひいては自分を否定されることと同義になるからです。
『沈黙』からは多くのことを学ばせていただきました。
藤原さんが仰るとおり、現代人の必読書だと思います。

タイトルインスピレーション童話『決意2』
記事No5048
投稿日: 2019/11/18(Mon) 23:24
投稿者USA
「おい、じゅんいち。あんまり調子にのんじゃねーよ。いい加減にしねーとひでぇことになるぞ」
僕はタカシくんをいじめていた連中に呼び出されてそう言われた。
でも僕はもうタカシくんを1人にしないと決めたから、いじめっ子に何を言われようが構わなかった。

ある時だった。
僕が「タカシくん、おはよう」
といったのに、タカシくんは僕を素通りしてそのいじめっ子たちの輪に入っていった。
僕は何がなんだかわけがわからなかった。
昨日まで2人で仲良くしてたのに。いったい何がどうなったっていうんだろう。
その晩、タカシくんからLINEが届いた。
「ごめんなさい。じゅんいちくん。ほんとうにごめんなさい。僕はほんとうに弱くてだめなヤツなんだ。あいつらは僕がこれ以上じゅんいちくんと仲良くしてると僕が万引きしたことを先生や親にバラすって言うんだ。もちろん僕はそんなことしたくなかったよ。あいつらにおどされて仕方なく万引きをしちゃったんだ。でもどんなに言い訳しても、僕が万引きしてるようすを写メに撮られたからもうどうしようもないよ。
ねぇじゅんいちくん。生きるってつらいね。しんどいよね。でも僕は弱い人間だからもうどうしていいかわかんない。こうしてじゅんいちくんのことも裏切ったし。
ごめんね。ごめんね。じゅんいちくん」

次の日から、僕のことがネットにいろいろ書き込まれるようになった。僕がお金を盗んだとか、どこかの窓ガラスを割ったとか、根も葉もないことを書き込まれるようになった。

廊下で先生とすれ違った。
「だから言ったでしょう。なぜ先生の言うことを聞かなかったの。学校には学校のルールがあるのよ。あなたが良いことだとどんなに思っても、それを良いことだと思わない子が必ずいるの。あなたが誰かを助けたら、結局違う子が傷つくだけ。あなたが正しいと思って信じているものは必ず正しいとは限らないの。わかった?」

もう僕は何を信じたらいいかわからなかった。僕は何か間違ったことをしたの?そうなの?タカシくんは僕とお話するようになって楽になったはず。でもそのことでまたタカシくんはいじめっ子に目をつけられて苦しむことになった。
タカシくんは僕に「ごめんね」って言った。
僕はその「ごめんね」をどう思ったらいいんだろう。僕はタカシくんと仲良くなった時には僕からはタカシくんになにも求めていなかった。僕はただタカシくんの話を聞いてあげただけ。なのにタカシくんは僕を裏切った。
僕はどうしたらいいの?こんな時誰も僕を助けてくれないの?なぜ先生は僕にあんなことを言うの?
僕は正しいことをしたのかな?タカシくんは「ごめんね」って言った。ということは僕を裏切ったことを悪いことだと思ってるってことなのかな。それなら僕は間違ったことはしてなかったということ?
でももういいや。少し疲れた。この学校にも疲れた。
お父さんお母さん、ごめんなさい。僕、やっぱり転校したい。

(著者あとがき)
やっぱり僕の中で『沈黙』は衝撃の作品でした。今まで読んだ本の中で一番の衝撃かもしれません。どこかでハッピーエンドを期待していたのですが、エンディングに待ち受けていたのはとてつもない絶望でした。
宣教師は最後に「転び」ます。つまりキリスト教を棄教するのです。どこまで苦しんでも神は目の前に現れずひたすら「沈黙」を続けます。それでも信じる意味はなんなのか?それはキリスト教を棄教し神を裏切ったとしても、神はそれすらも赦してくれた。だからそんな神をこれからも信じる、としてストーリーは終わります。
とんでもない小説です。読み終えた時に僕はしばらく呆然としていました。

タイトルRe: インスピレーション童話『決意』
記事No5053
投稿日: 2019/11/24(Sun) 11:04
投稿者ようへい
USA様

新作ありがとうございます。

正義は時と場合によって変化してしまうものかもしれませんね。

残念ながら正義の定義に幅を持たせてその時度に応じて変化させて対応していかないととんでもない不利益を被ることは世の中多くあるのが実情ではないでしょうか。

正義の使い方リテラシーを身につけることが非常に大切である。
と諦め半分で感じています。

奈良市在住 ようへい