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タイトルスクラップ・アンド・ビルド
記事No4773
投稿日: 2019/05/28(Tue) 22:55
投稿者USA
『スクラップ・アンド・ビルド』(文藝春秋)羽田圭介

153回芥川賞受賞作です。文庫で150ページ。1日あれば読み終えます。
さて書評ですが、これは難しいです。

主人公の健斗は30歳を前にして会社を辞めたフリーター。共に暮らすのは母と年老いた祖父。祖父は心身ともに弱り果て「死にたい」が口癖。母は父、健斗にとっての祖父のことですが、を甘やかすと弱る一方なので父の為にと自立を促すよう厳しく接します。しかし健斗はまた違った考えで祖父の為に行動します。それは祖父に何もさせないことです。すべて祖父の身の回りのことを健斗がしてあげます。なぜか。それは祖父が「死にたい」というならば、自立などさせず弱らせるだけ弱らせて死に近づけようと考えているからです。

さて冒頭の話に戻りますが、書評が非常に難しい。なぜかというと、どういうことを訴えたくてこの小説を作者が書いたのか僕には正直わからないからです。介護のツラさを言いたいのか、介護される年寄りの葛藤を描きたいのか。ストーリーの所々で祖父は実は弱ってなどいなくて、元気なのではないかと思われる描写が出てきます。そのことでこの小説のメッセージが何なのかイマイチ僕にはわからないまま気づけば小説が終わってしまった、といった感じなのです。

やはり「コンビニ人間」といい、浅識なぼくには芥川賞の理解はどこまでも難しい。そう思わされました。

『本を読む人だけが手にするもの(小説編)』(よのなかフォーラム出版)皆さまからの推薦本50冊のうち32冊目の書評