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タイトル短編小説『ボタン』
記事No4681
投稿日: 2019/03/08(Fri) 00:56
投稿者USA
僕はどこかでボタンを掛け違えた。掛け違えたボタンは結局ズレたまま、最終的にひとつ余ってしまった。そのボタンが僕。
いつ、どのように掛け違えたか僕にはわからない。ある時、僕の机の上に花瓶が置かれ、その中には一輪の花が添えられていた。その時、「あ、僕は今イジメられてるんだな」と明確に認識した。
僕はクラスの中では死んだことになっているらしい。僕は確かに座っているのに、あたかも目には見えない空気のように扱われた。
無視は本当につらかった。学校に行ってもなにもない。ただ悲しくなるだけ。次第に僕の足と気持ちは学校から遠のいた。
両親はもちろん心配してくれていたし、いろんな方法で僕を学校に連れて行こうとしたが、もはや僕には気力が一欠片もなかった。それは学校に行く気力だけでなく、生きる気力も奪っていた。毎日死ぬことだけを考えていた。
担任の橘先生は僕が学校を休むようになってから毎日家に来ていた。しかし僕は自分の部屋から一歩も出ないものだから、両親が框の上から申し訳なさそうに先生に謝っている声だけが僕の部屋まで届いていた。

ある日、知らないメールアドレスから僕の携帯にメールが届いた。

「私をイジメてみない?橘より」

その一文だけが唐突に送信されてきた。意味がわからず、先生も面白がって僕をからかっているように感じメールを無視した。

「メールは見てくれたかしら?孝くんはクラスのみんなからイジメられてつらいんでしょ?だから今度は孝くんが私をイジメてみてよ。」
しばらくは無視をしていたが、毎日のようにこのようなメールが届くので、僕は自分のやり場のない怒りを吐き出すように行動に移した。
SNSに橘先生の良からぬ噂を書き連ねた。そして僕をイジメていた生徒のことを先生が嫌っているといった内容を投稿したりした。
名指しにされた生徒は怒り狂い、橘先生に露骨に危害を加えるようになった。誰が投稿しているかわからない。誰も信用できない。猜疑心が猜疑心を呼び、クラスの秩序が乱れ、そして、崩壊した。

「どう、孝くん?満足した?クラスは崩壊したよ。もはや誰もこの事態を収拾できないから、学校は開店休業状態になってるわ。すごいね、孝くん。キミにはこんなチカラがあったんだよ。
ボタンを掛け違える時はね、誰もが無意識なのよ。でもね、最後にようやく気づくの。あれ?ボタンが一個余ってるって。余ったままじゃ気持ちが悪いから、今度は自覚を持ってボタンを掛け直す。
あなたがイジメられたことによってボタンは一個余った。最初はみんな無意識だったけど、時期に居心地の悪さに気がついた。でももう遅い。なぜならその余ったボタンはクラスにはもうないから。
ねぇ、孝くん。クラスに戻ってきてくれないかな?掛け違えたままではダメなのよ。自覚を持ってボタンを掛け直さないと。
あなたは私をイジメてどう感じた?最初はきっとスッキリしたでしょう。だってあなたをイジメてた人達が混乱するんだもの。胸のすく思いだったでしょう?でも今はどう?あなたも居心地が悪くないかしら。ボタンは掛け違えたままだと必ずどこかでひとつ余る。そしてその居心地の悪さは掛け違えた本人に最終的に帰るのよ。孝くんも今はどこかで気持ちが落ち着かないでしょ?だからお願い。戻ってきて。今度は私がきっとあなたのチカラになるから。」

ただのボタン1個に過ぎない僕に何ができるのか?怖いけど、とても怖いけど、僕は自分の意思で強い意思でボタンをしっかり締めようと思う。

タイトルRe: 短編小説『ボタン』
記事No4684
投稿日: 2019/03/09(Sat) 01:28
投稿者ようへい
USA様
新作 ありがとうございます(^_^)

いじめは、根底が他人との差異から来ているため無くならないだろうと思っています。

個人個人を地球という生命体の範疇で見れば新陳代謝される一細胞に過ぎない感じがして、命ってなんだろう?

長くて100年、短ければ0日かもしれない、人の一生も地球の営みの長さからみれば一緒 0.01/nも100/nもnに100億位を入れてしまえば近似・・・


だとしても 

生きながらえて見える景色が素晴らしいと言ってあげたいし、言ってあげられる人間になりたいと毎日を生きています。


奈良市 在住 ようへい