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タイトル悪の教典
記事No4609
投稿日: 2019/01/26(Sat) 21:04
投稿者USA
『悪の教典 』(文藝春秋)貴志祐介

高校教師である蓮実聖司は自分にとって邪魔なものを無慈悲に殺す。動物を殺す。両親を殺す。同僚を殺す。生徒を殺す。

なぜそんなことができるのか?まずは頭脳が天才的に明晰であること。その頭脳をもって相手の気持ちや行動を心理学的に「分析」します。しかし「共感」はできません。蓮実聖司には他者に共感する心というものが決定的に欠落しているからこそ殺戮することに何の躊躇いもないのです。
その一方、性欲処理のために教え子と関係をもつ、相手を意のままにしたいという所有欲がある、とにかく極めて自己中心的な怪物なのです。

ひたすら殺戮を犯す描写の中で、一体著者は何が描きたくてこの小説を書いたのか?
どんな小説にも著者が読者に届けたいメッセージは必ずあるものだと僕は思います。僕はこの小説のメッセージは次の一文に集約されていると思います。

「他人の痛みを想像できない人間は、本質的には、蓮実と何ら変わらないのだから。」


『本を読む人だけが手にするもの(小説編)』(よのなかフォーラム出版)皆さまからの推薦本50冊のうち15冊目の書評

タイトルRe: 悪の教典
記事No4612
投稿日: 2019/01/28(Mon) 09:54
投稿者ようへい
USA様
書評ありがとうございます。

他人の痛みを想像できない人間は、個としては少なくても
集団となると戦争という形で大量殺戮する形を取ってきた歴史をどう評価し、どう生かすか。
AIに知恵を借りたい分野と思っています。
何度も繰り返しますから・・

奈良市在住 ようへい