動物たちが生まれるまで
 
動物の壁画アートイベント、
その ヒミツを解説します
   

[基礎のキソを説明] → [切り絵・貼り絵の実習] → [スケッチ・デッサンの基礎の勉強]
→ [デッサンした動物にちぎり絵で肉付け] → [紙芝居でプレゼンテーション]
→ [空をマスキング手法で塗る] → [動物と茂みを塗る]


【なぜ、このアートイベントは成功したか?】   プロデューサー 藤原和博

 「子どもの森に舞い降りた動物たちのお話」はなぜ成功したのかを、ここに記録として残しておきます。まず、私の心配は、“壁に自由に絵を描く”というと、ピカチューやドラえもんやトトロ(実際宮崎駿さんは永福小の第一回卒業生)を描いてしまう子が出るのではないかということでした。「杉並区21世紀プロジェクト」の一貫でもあり、2001年は記念すべき永福小の50周年でもあるので、この万年塀には、どうしてもまったくオリジナルで、世界的に見ても(外人の専門家が見ても)アート性の高いものを、子供達自らの手でつくらせたかった。そうして、子供達に、校庭の塀のように日常的に気にすることのない「与えられたもの」でも、意識を向けることによって「自分のチカラで変えられる」ことをカラダで感じて欲しかった。

 パリのショーコさんと深夜の電話&ファックスで何度もやりとりした結果、切り絵の手法を使えばオリジナルな造形ができるかもしれないということになりました。以下に、このイベントが、よくあるタイプの“美大生に綺麗に壁絵を描かせてアートしている壁絵”や“子供達がまったく無邪気に落書きしてはいるがアート性が低い壁絵”とは違って、非常に希なことだと思うのですが、まったくオリジナルな“アート”に仕上がった理由を3つ記しておきます。

(1)
校庭の遊具を「空から舞い降りてきた動物たちの骨」と見立てて、きっちりスケッチさせたあと、そのスケルトンに肉付けするという順番にしました。子供達には、最初に校庭につれていって遊具を骨格として写生させました。

(2)
骨組みに対して肉付けするのに“ちぎり絵”の手法を使って、偶然できたカタチの組み合わせで動物をつくらせました。その動物は、どんなものを食べているのか、なんで永福小の森に舞い降りてきたのかをイメージさせたうえで造形させました。制作中に何度もそのキャラクターの特徴を尋ねました。

(3)
そのイメージを物語にして、グループごとに紙芝居でプレゼンテーションさせました。一人1枚の紙芝居で、ストーリーを協議させ、プレゼンの順番を決め、自分のパートを、同じように“切り絵”で形づくらせました。

 こうしてできた動物だからこそ、誰のようでもない、いままで見たことのない動物として仕上がってきたのです。それから、グループ内で「この怪獣の口の先には顎を付けたい」という子と「付けるとカッコ悪い」という子に分かれた場合、わざと対立を煽ってディベートさせ、相手を説得するにはどうしたらいいかを考えさせたりもしました。その他にも、お母さんたちもライバルとなって自分たちの動物の製作に夢中になったことや、地元のアートの先生も子どもと同じ視線でアーチストとして参加したり、慶應の学生たちが仲間に加わって一緒に悩んだり、遊んだり、失敗したりできたことも大きかったと思います。

【壁画アートの概要】
まず、SCHOKOさんからアートの世界についての楽しい説明がありました。ここでしっかりとアートの根幹の部分を教えられたのが成功のカギでした。 実際の制作に入る前の実習。切り絵・貼り絵を自分たちで創ってみました。予定より素晴らしくできたこの切り絵と貼り絵は後に空と茂みになります。 校庭で木のスケッチ。それに慣れたら遊具のスケッチです。遊具は動物たちの「骨格」となります。骨格を捉えることはきちんとしたデッサンでも基本です。
       
動物が永福小にやってきた経緯を説明する物語をそれぞれ紙芝居でプレゼンテーション。こうして校長先生から許可をとったら塗り始めてOKです。 ちぎり絵によって作られた動物を、実際に壁画を描くことになる校庭の壁に掛けます。後に色を塗る際に必要な輪郭を鉛筆で取っておくことも忘れずに。 スケッチしたものを拡大して、その輪郭にある程度沿うように、自由に切った紙を貼っていきます(「ちぎり絵」の手法)。ここで抽象化が行われます。
       
実習で作った貼り絵、切り絵を元に空と茂みを塗っていきます。空はマスキングテープを使って塗るという手法を用いました。一色ずつ丁寧に・・・。 鉛筆で取った輪郭を参考に茂みを塗り、最後に動物を塗っていきます。これもペンキが乾くのを待つ必要があるので一色ずつ、日を置きながら塗っていきます。 完成! 完成会をひらいてみんなでお祝いしました。
生み出された動物たちはいつまでも永福小学校の壁にたたずむことでしょう。



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